サウンド療法(音響療法)は,“音の働きを意図的・計画的に使用して,ひとのウェルビーイングを実現する治療法”である.これは,音の周波数によるセラピーであり,音楽療法,声明(仏典に節や音程をつけた仏教音楽),シンギングボウル,チューニングフォークなどを処方する.
ストレスは万病のもとともいわれるが,現代社会ではストレスに曝露されずに生きていくことは不可能である.保健医療分野において,ストレスに関する研究は多数ある.しかし,臨床や研究で用いるストレッサーとなる音源は統一されていないのが現状である.そこで,ヒーリング環境音の研究に長年携わってきた経験を活かし,メディカル・サウンドを制作した.なお,研究目的のために,ディストレスを引き起こすホワイトノイズとピンクノイズも制作している.ホワイトノイズ(白色雑音)は“シャー”という音であり,すべての周波数帯域においてエネルギーが均一に混入した雑音である.ピンクノイズは“ザー”という音であり,周波数の高い音ほどエネルギーが弱くなる雑音である.
このメディカル・サウンドが,現代人への癒しの音の処方箋となり,さらにストレス研究に役立つことを祈念する.